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みかんとひよどり

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書店で平積みされていても、まったく読む気を起こさせない本の帯書き(笑)
   
道新の読書欄で別海町に住む羊飼いの小説家 河﨑秋子氏が好意的な評をコラムに記していたのと、作者が「タルト・タタンの夢」を始めとするビストロ・パ・マルシリーズの近藤史恵だからということで手に取りました

  
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やはり本作「みかんとひよどり」も、調理のシーンや出来上がった料理の描写は「これ、食べてみたいなぁ~」と思わせてくれます

本書に特徴的なのは、ジビエ(狩猟肉)を中心に話が進んでゆくこと
舞台は内地なのだけれど、北海道と同じく増えすぎて害獣扱いになっているニホンジカやイノシシに関するエピソードが多いです

建物のシャッターは開いていて、中の様子が見えた。僕は息を呑んだ。
鹿がうずたかく積まれている。一頭や二頭ではない。十五頭はいるだろうか。強い獣の匂いと、血の匂い。
「これは・・・・・・」
「害獣の焼却施設。週四回、持ち込まれた鹿や猪が焼却される」
大高のところで、ぼくは鹿を捌くのを手伝った。美しい生き物が肉になるところを見届け、そのことに罪深さを感じた。
だがここにいる鹿は、肉になることすらない。焼かれて、そのまま骨になる。
(中略)
殺しながら、食べることさえせず、ただ命を無駄に投げ捨てる。手間さえかければ、美味しく食べられるものを、焼いて骨にして捨てるのだ。

 
また、違うシーンのシェフ同士の会話のなかで

「最近では、肉にも食にも興味がないのに、狩猟やジビエに絡んで一儲けしようとする奴が多い」

  
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あちこちに読みどころの多い、とても面白い作品です
一番驚いたのは身近でよく見かけるヒヨドリが実は美味しい(!)のだということ

「ヒヨドリのロースト みかんのソース」、ぜひ味わってみたい!
   

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