羊の教訓
壊滅すると技術と資源が無くなり、再生にはそれを存続するよりも費用と時間を要する
一度失われたものは、取り戻すことが難しい。国産羊の8割を飼育する北海道で、おそらく最大の頭数を育て出荷している茶路めん羊牧場の武藤さんをして「家畜市場に羊はいない」と嘆かせる現実がこのコラムから垣間見えます
今年2月に札幌で開催されたイベントのトークショーで武藤さんが語った中に、次のような内容がありました。
消費される羊肉の0.5%しか国産羊からは供給できていない。また、羊肉料理はジンギスカンが筆頭で、あとはフレンチやイタリアンなどの「レストランの料理」となる。もっと普通に家庭の食卓にのぼるような料理で使って欲しい。そのためにも肉屋さんに羊肉が当たり前に並ぶようになる必要がある。国産に限らず、もっと日常的に羊を食べてもらいたい
もちろん、他にも羊肉の旨味は鰹節と同じイノシン酸であり、そのダシはそのまま麺類に使えるほど美味しいなど、羊にまつわる様々なことを(持ち時間をかなり超過して)話して下さったのだけど、牛豚鶏に比べて羊の食卓での出番は極めて微々たるものだ、という指摘が心に響きました。確かに、北海道に来る前の内地では町の肉屋さんのショーケースで羊肉を見かける、などということはありませんでしたから。
by courtesy of Ms.Gabriela
ところで、茶路めん羊牧場の羊はエサとして町内の加工場から出る十勝や白糠名産のゴボウの皮をふんだんに食べているのだそう。ゴボウのうま味は皮の部分に多いので、なんとも豪勢な。さらに、近所にあるチーズ工房白糠酪恵舎から出るホエーも大量に飲んでいるとのこと。でも、武藤さんはそのことを全くと言っていいほどアピールしません。
そのことで私が「もっと『ゴボウひつじ』や『ホエーひつじ』という風に特長を宣伝してブランド力を高めた方がいいのでは?」と愚問を発したところ、地元の安全な素材を飼料として使うのは生産者として当たり前のことで、それを「○○ひつじ」のように特別な呼び方をしようとは思わない、というのが武藤さんから返ってきた言葉でした。
それを聞いた時、和商市場で茶路めん羊牧場の羊肉を扱っている吉岡肉店の社長Yさんの言葉を思い出したのです。
「武藤さんのところの羊は、サフォークとかポールドーセットとかの品種に関係なく、全てどれも『茶路めん羊牧場ブランド』の肉質に仕上がっている。それが凄い!」
プロの肉屋さんがほれ込まずにいられない、高品質な肉なんだと
安易に「地産地消」という言葉を使うのは嫌いだ、という吉岡さんの店頭ポップ
釧路に住んでいると、「羊」から考えさせられることが沢山あります
羊の会2010
https://yunbok-diary.cocolog-nifty.com/misty/2010/02/1-41f1.html
羊の会2011
https://yunbok-diary.cocolog-nifty.com/misty/2011/02/post-d5ba.html
羊の会2012
https://yunbok-diary.cocolog-nifty.com/misty/2012/04/2012-29ee.html
羊の会2013
https://yunbok-diary.cocolog-nifty.com/misty/2013/07/2013-0855.html
羊の会2014(特別version)
https://yunbok-diary.cocolog-nifty.com/misty/2014/04/10-13e5.html
【フレンチレストラン ガストーラより】
お知らせでーす。
2015年7月4日土曜日の夜18時から羊の会を開きまーす。
立食形式でお一人様8000円です。
羊の会というのは、将来50年、100年後に釧路といえば羊だよねって言われるくらいに羊を普及させたい!とのシェフの想いから始まった会です。
当日は茶路めん羊牧場さんの羊で作った様々な羊料理を召し上がっていただきます。
皆様、お誘い合わせの上
ご予約くださいませー。
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