週末のエール
評価の高い、というか既に確立されている伊坂幸太郎の、8短編からなる作品。そういう「有名」なのには手を出さないようにするヘソ曲がりなんだけど、なんとなく手に取ってしまった本。
8年後に小惑星が地球に衝突して滅亡することが判った、その5年後の世界。残りはあと3年。判明当初は強奪や殺戮が横行したものの、やや落ち着きを取り戻した状況が仙台市の郊外を舞台に描かれる。仙台には大学受験浪人で1年間住んでいたので、それなりに懐かしさも(笑) 正直、 初めの4編には「こんなもんか」という感じでした。でも今日、ガストーラでランチの茶路めん羊牧場 仔羊とちりめんキャベツのシューファルシ(←反則的安さ(笑)、凄いボリュームと美味しさなのに1575円のコース(!!!)で食べられる。東京ならこれ一皿でその倍以上でしょう) を食べる合間に読んだ、5編目のキックボクサーを題材にした「鋼鉄のウール」あたりから俄然ハマって。
まだ小惑星衝突が判る前のこと
ある映画俳優との対談だった。
饒舌さが売りの、派手なその俳優と、無口で愛想が無い苗場さんとのやり取りはあまりに噛み合わず、気の利いた掛け合い喜劇のようで可笑しかった。
「苗場君ってさ、明日死ぬって言われたらどうする?」俳優は脈絡もなく、そんな質問をしていた。
「変わりませんよ」苗場さんの答えはそっけなかった。
「変わらないって、どうすんの?」
「ぼくにできるのは、ローキックと左フックしかないですから」
「それって、練習の話でしょ? というかさ、明日死ぬのに、そんなことするわけ」可笑しいなあ、と俳優は笑ったようだった。
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」文字だから想像するほかないけれど、苗場さんの口調は丁寧だったに違いない。
「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
鋼鉄のウール以降、天体のヨール、演劇のオール、深海のポールと、どんどん伊坂節(?)が堪能できて、読後は満足。二重花◎をあげたい。
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