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焚書もの 禁断のパンダ

Forbidden_panda

第6回(2008年)『このミステリーがすごい』大賞受賞作。奥付を見ると、作者は「1973年生まれ。大阪あべの辻調理師専門学校を卒業後、神戸のフランス料理店に就職。その後様々な飲食業に従事。現在はアルバイト。」 ちなみに、本の帯の惹句はこれFp_comments

確かに始まりから1/3ぐらいまでは、出てくる料理や街なかで評判のビストロを開いている若きシェフの日常などの描写が、作者の経歴を反映していて読ませてくれるのだけど、その後が私には全くダメ・・・  料理と同じく、小説も嗜好品なので個人の好き嫌いはあります。

主人公の柴山幸太が営む<ビストロ・コウタ>はレストラン評価本「ザガットサーベイ」で神戸の300店あたりのなかで、本人も驚く4位にランクされる。しかし、一般消費者たちのアンケートによる評価とそのコメントには納得もする「コストパフォーマンスに優れた地に足の着いた豪快な料理」「目まぐるしく変更されるメニュー内容はどれも魅力に溢れ値段以上のものが味わえる」「店の儲けを心配してしまうほどに良心的な料金で独創的な力強い料理が出てくる」「この店で同じ料理を味わうのは非常に難しい。だがそのどれもが美味であることは賞賛に値する」 結局のところ、安くて美味しい料理、という点と、頻繁にメニューを変更している点が高評価に繋がったようだ・・・  訪れる度に前回と違った料理を、リーズナブルな料金で、それ以上のレベルの味として楽しめる店。幸太は、<ビストロ・コウタ>が自分の理想通りの店として一般消費者たちに受け入れられ、浸透していることに大きく満足していた。

この主人公が、ザガットサーベイ神戸の料理部門で第一位にランクされた<キュイジーヌ・ド・デュウ>で起きた殺人事件に巻き込まれてゆく。

以下、ネタばれ注意!

題材はカニバリズム。現職の料理人が書いたのなら、許せない・・・・ぐらい、胸が悪くなり、酸っぱい胃液が読んでてこみ上げてきます。売らんかな主義まる出しの、本の帯にダマサレないように。最後まで読んでしまうと、食べられなくなる料理が、必ず、できてくる。最初の1/3だけで終わってくれて構わない小説です。そこまでなら、読むのをお勧めします。

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