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医学のたまご

A_medical_researcher_in_embryo  

映画が封切られたばかりで話題の『チーム・バチスタの栄光』原作小説で、2005年「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した海堂尊の、ヤングアダルト向け物語。

中学生を対象にした文部科学省の潜在能力試験で全国1位の成績を取ってしまった男の子、薫。名門の東城大学医学部の藤田教授の画策により、「スーパー中学生」のふれ込みで総合解剖学教室の研究生となる。これにはもちろん「ウラ」があって、マスコミに注目されること、10億円の文科省特別科研費B・戦略的将来構想プロジェクトの予算をひっぱって来ること・・・

この道は、いつか来た道。PCR,サザンブロット、プローブ、懐かしい単語もそうだけど、そんなフレーズが読んでて浮かんできました。薫のビギナーズ・ラックのような画期的実験結果を、再現性も検証せず論文にしてしまう藤田教授。超一流学術誌のNature Medicineに投稿してリジェクトされると、マスコミ発表に合わせるため無審査で掲載される三流誌へあっさりと乗り換える節操の無さ。同じ分野を研究している世界の権威から疑問を呈され、マスコミから捏造疑惑を指摘されると、責任を筆頭著者にしておいた薫とその指導にあたった助手に全てなすりつける。物語のクライマックスは窮地に陥った薫が、或る方法で教授の悪事を暴き自分の無実を証明するくだり。医学の世界で研究をかじったことのある人には別の感慨もあるけれど、普通に読んでもおもしろい本です。

 

吉田拓郎   人生を語らず ♪

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