知床の少女
‘生活力’をつけなきゃ、この自分も。「知床の少女」を読んでいる間、ずっとそんなことを思っていました。ここでいう‘生活力’は、たとえば目の前に大きな鮭が丸ごとドンッと1匹置かれても、それを当たり前にさばけるとか、あるいは20人分の食事の支度と食器の後片付けを毎日朝昼晩の3回こなしたり、といったもの。もちろん、どちらも(今の)私にはできないからなんだけど。
高校受験に失敗し浪人となってしまった15歳の亜樹は、札幌に住む祖父の密かな考えにより、東京の家をひとり離れて知床へ向かうことになる。祖父の幼なじみ、78歳の‘さくらばあ’が現役で会長をつとめる羅臼の加工場「三上水産」で亜樹が過ごす、晩夏から初冬にかけての物語。漁船が戻ってくるたびに行われる流し競り
「山?」「魚のことだ。千個の山があったら千の声を出させて、山ごと全部競っていくのさ。今の時期だったらマスは七時半ぐらいに競りがはじまるっしょ。また九時に競って、ホッケなんかの刺し網だったら時間がかかるから十時、十一時ってことになるね」
「市場にどんな魚が揚がるかは大方わかる。けど、買うか買わないか、買えたか買えなかったかっていうのはこっちにはわかんない。だから、競りがおわったらすぐに連絡が入るんだ」 カズさんが携帯電話を亜樹に見せた。「それでラインが変わってくるんだ」「ライン?」 さっきも耳にした。「魚を加工する工程のことさ。買った魚でその日の段取りが変わんだ」
大量の魚をさばく加工場ではそのラインにすんなり納まることができるか否かで、その人間の「生活力」がたちどころに明らかになってしまう。そんな加工場の熱気と、懸命に働く亜樹の成長ぶりが伝わってくる、しみじみ本。 ちなみにお伴のワインは、シチリアの少女(笑)
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コメント
ユンボギさん
こんばんは。
ブログ楽しく拝見してます(バスケしたはったんですね)。
今日は見慣れたエチケッタに惹かれてついつい書き込んでしまいました。
ドンナフガータ、よく飲まはるんですか?
そうとは知らず、来週のワイン会の白に選んでしまいました(アンシリアではないですが)。
僕の場合、完全にジャケ買い(ワインでもそう言うのでしょうか?)なんですけど、でも何飲んでもおいしいですよね。
今さら変えるわけにもいかへんし・・・。我慢してくださいね。
ともあれ、やはり知床の少女よりシチリアの少女に惹かれますね。
投稿: J | 2008年2月13日 (水) 00時13分
ドンナフガータは、このアンシリアが初めて。
僕もやはりジャケ買いです。
以前からとても気になっていたのだけど、先週ようやくフンギリをつけて、とうとう手を出してしまいました(笑)
魚介類にも、今日の夕食だった鶏肉のソテーにも合うし、期待を上回る働き者の良い娘で、おじさんはうれしいです。
来週のワイン会のJセレクション、楽しみにしています。
投稿: ユンボギ | 2008年2月13日 (水) 21時25分