おまえはいったいなんなんだ? なぜここにいる? 宮部みゆきが絶賛する極上のパニック・エンタテインメント - という帯の惹句にそそられて読み始めたのだけど、ちょっと期待が大きすぎたか・・・ 小野不由美の「屍鬼」を手にした時に感じさせられた、得体の知れない邪悪な存在にじわり、じわりと取り囲まれてゆく不気味さや恐怖は、この本には無い。物語の終盤、ひとが襲われる場面の描写は凄惨ではあるものの、それだけで終わってしまう印象。山あいの沢や渓谷など、舞台となる安曇野の豊かな自然には主人公と同じく感情移入ができるだけに、ちょっと残念。読みたくても新刊では購入せず、図書館で借りることをお勧めします。
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