After all, you're still you
この本を読んで、少し夢から醒めた気がする。
「次長はストレス、どんな方法で発散してらっしゃいますか?」「まあ、ちょっとつらいなと感じたときは、なつかしい音楽を聴きながら当時の思い出にふけってみたり、自宅の書斎を整理して要らなくなったものを大量に処分してみたり」
ふと同時に、口をついて出たことばが同じで、ことばだけでなくふたりの思いが重なり合う瞬間。
同じセリフ、同じ時、思わず口にするような、ありふれたこの魔法でつくり上げたよ、だれも触れない、ふたりだけの国
もちろん、書名はスピッツの曲 ロビンソン ♪ から。この歌は11年前に初めて地方勤務になった春先に繰り返しラジオから流れていて、都落ちしたと不安になっていた気分で聴いていたのを思い出します。
「人生の予定が狂うほどの恋など するつもりはなかった。」 帯の惹句が語る通り、ミネラルたっぷりのしょっぱい読後感の本。
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コメント
え~っと、これはいわゆる「不倫」小説です。
44歳の銀行支店次長が20代後半(?)の部下の女性と恋に落ちる話。
道徳上あるまじき、言語道断で「社会的に絶対許されないこと」を、このように必然的で抒情性をもつ物語として描くのは如何なものか!?と、ひと言もふた言も三言も苦言を呈したくなるところだけど、尊師・北上次郎をして「まったくうまい。恋に落ちる過程も説得力をもって描かれているから、他人事だと思っていた恋が、彼の人生が、まるで自分のことのような気がしてくる。うまいなあ盛田隆二。」と言わしめる筆力の前では、いろいろあるから人生なんだ・・・、と思うばかり。
投稿: ユンボギ | 2006年11月 6日 (月) 19時35分