数学嫌い
相手はアルバイト先で知り合った、電気工学の勉強をする大学生だった。物静かで教養豊かな青年だったが、二人の間に起きたことを受け止めるだけの度量はなかった。私を魅了した、電気工学についての神秘的な知識は何の役にも立たず、彼はただの愚かな男になって、私の前から姿を消した。ちょっと(かなり)長い引用。 男の子をひとりで育てている若い女性と、記憶障害をもつ老数学者の淡くとも確かな交流の記録。文の中に散りばめられた数式や、阪神タイガースのエピソードはそれなりに興味深いけれど・・・・。 「私」とその息子、数学者が互いに相手を痛いほど気遣う。読者が女性なら感情移入がもっとスムーズなのかもしれない。義弟である数学者の後見人として登場していた未亡人の(真の)立場が明らかになってからは、微かだった違和感は増すばかり。私はただの愚かな男になって、本の前から姿を消した。
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コメント
自己レスです。理系のガッコを出たのに、数学とその応用の物理がからっきしダメ。だからといって書名に悪い先入観は無かったはずですが、チョー感動というところまでは行き着きませんでした。息子「ルート」の気持ちはよく理解できるのに、いまひとつ入ってゆけません。この本の良さをいちばん判るのは、やっぱり子を持つ「母」だと思います。いち押しして貸してくださったお米屋Fさん、ごめんなさい。懲りずに、またおススメ本があったら教えてください。
投稿: ユンボギ | 2006年3月24日 (金) 01時05分